2012年10月18日木曜日

8月の活動報告~その5 福島編(下) 吾妻小富士観光




 ようやく、8月の報告もラストです。
 福島で太陽の講演会をした翌日、広島の保養プランを終えて、福島に戻って来られたばかりの吉野裕之さん(こども福島の中心メンバーとして知られていますが、シャロームのスタッフもされています)が、お疲れのなか、磐梯・吾妻方面にドライブに連れて行ってくださいました。吉野さんとは、昨年4月に振津さんや宮腰さんらと福島を訪ねた折に、お近づきになりました。
 ドライブとはいえ、そのあいま、あいまに車を止めて、吉野さんの簡易測定器でドライブウェイ周辺の放射線レベルを測りながらの観光でした。
 私の問題意識は、放射能雲をせき止めるような働きをした磐梯・吾妻山系の山々の山腹や稜線付近の放射線レベルは依然として高いのではないか、というものでした。
 いろいろな場所で測定をしましたが、放射線のレベルはおおむね0204マイクロシーベルト毎時でした(同じ日の福島駅前のモニタリングポストの値は06レベル)。草むらのようなところや窪地はやはり高く、お鉢めぐりをした吾妻小富士の稜線は、むしろ低い値でした。風雨にさらされて、草木の少ない山の稜線は、風化作用が大きく、放射性物質を含む土などは、標高の低い方へ流れているのだと思われます(この推測は、阿武隈川等の河川に放射能が流れ込み、猛烈に汚染が進んだという事情とも合致すると思います)。
 道すがら、ふだんは放射能がらみのお話しかするチャンスがない吉野さんと、よもやま話もできました。吉野さんは、仏文専攻だそうで、今時の学生は、仏文(ふつぶん)のことを“フラぶん”と呼ぶ、と話したら、たいそう呆れていました。吉野さんが学生時代によくご覧になった映画のことなど、談論風発、おかげさまで、この日も楽しい時間が過ごせました。


 8月には、宮腰さんは、広島のキャンプの応援に行かれ、子どもたちに人気があったようですが、こうした子どもキャンプの報告はデリケートな面が強いので、また別の機会に宮腰さんから報告してもらえれば、と考えています。            (滝澤)

2012年10月5日金曜日

8月の活動報告~その4 福島市「太陽」講演会(上)

 早10月の声を聞き、秋色も、いよ深まる昨今、いまさら8月の報告というのも、時宜を失した感はございますが、お世話になった皆様へのお礼やご挨拶も兼ねて、記事に致します。

昨年の原発事故以来、いろいろとお世話になってきたNPO法人シャローム(大竹静子代表)のお招きで、825日に福島へ行ってまいりました。当日は、20名ほどの方々にお集まりいただき、私の拙い話にお付き合い戴きました。私の話が長引いたのに加え、多くの皆さんから活発なご意見やご質問を賜り、会は予定を30分以上オーバーして終了しました。会を終え、解散後に、中学生くらいの(もし高校生だったら御免なさい)男の子が、「地球の磁極の移動が近年加速しているのは、太陽の活動と関係あるのですか?」という極めて専門的で、むずかしい質問をしてくれて、大変驚きました。
このテーマは私の専門外で、ほとんど知識がなかったため、「詳しいことはわかりませんが、ひょっとしたら関係があるかもしれませんね。」などと、その場では、いい加減な回答しかできませんでした。
太陽が約11年周期で磁極が反転するように、地球の磁極も100万年に1.5回の割合で反転していることが、古地磁気学などの研究からわかっています。ただし、こうした磁極の反転がなぜ起こるのか、という原因については、明確な答えはまだ得られていません。地球の磁北極は、20世紀の100年間で1000km以上も移動しており(下図参照)、その原因も、解明されていません。ただし、日周運動によって、太陽からの荷電粒子の影響で、一日のあいだでも、周期的に数十キロ程度の変動があることが知られており、地球の磁極の位置が、もっと長い周期で太陽からの影響を受けている可能性もあるかもしれません。テーマとしては、研究する価値があるものではないか、と思います。
散会後、岐阜から(だったと思います。これも間違っていたらごめんなさい)来られた、シャロームの友誼組織の方やご同行の福島学院大の先生等と、新規事業(障害者の自立支援に関わるものつくり事業)に関する懇談の場に同席させていただきました。
その後、中華料理店で晩御飯をご馳走になった上に、講演会にもご夫婦でご参加くださった野内さんから、太陽にちなんで、イタリア語の「オーソレミオ」の歌のプレゼントまでしていただき、たいへん感激いたしました。(野内さんには、昨年、土壌サンプルの採集の際にも、たいへんお世話になりました。ありがとうございました)
こんなわけで、原発事故被災地を訪ねて、どちらが支援しているのか、支援されているのかわからないような有り様で、誠にお恥かしい限りですが、お陰様で旧交を温め、楽しいひとときを過ごすことができました。(つづく)  (滝澤)


2012年9月23日日曜日

8月の活動報告~その3 宇治キャンプで大流星に遭遇!

 サマーキャンプイン京都・宇治の星座観察ガイドに呼ばれたのは、818日の晩でしたが、当日はあいにくの荒天で、鉄道も乱れ、残念ながら中止となりました。

幸い、主催者のお取り計らいで、このプランは翌日19日に順延となり、おこがましくも、キャンプファイヤーの大トリを務めることになりました。キャンプファイヤーの後半にようやく会場にたどりつき、お互い顔も満足にわからないようななかでの、星空散歩となりましたが、夏の大三角形の見つけ方は、みなさん、おわかりいただけたと思います。
 偶然にも、夜空を見上げていた最中に、一瞬空を焦がさんばかりの大火球(だいかきゅう)を見ることができ、大変ラッキーな夏の宵をみんなで過ごすことができました。元天文少年(今は、なれの果て?)としては、とても満足しています。(おおよその方角としては、ヘルクレス座あたりから東に向かって飛んだように見えました。時刻は、21時すぎ頃でしょうか。時刻や方角から考えて、この火球は、ペルセウス座流星群とは直接関係ないようです)
 あまりにも素晴らしく、火球を紹介するにはうってつけの写真なので、次のHPから、写真を拝借しました。ペルセウス座流星群は、こうした火球が多いのが特徴のようです。http://photo.yana3.com/?cid=1


2012年9月10日月曜日

8月の活動報告~その2 岩手県山田町を訪ねて(下)

 山田町では、「ホテル ビジネスインやまだ」という高台に新しく作られたホテルに投宿しました。当初は民宿に泊まって、地元の人の話を聞くという心積もりでしたが、余りにも到着時刻が遅くなったので、ホテルの方が、迷惑をかけることが少ないと考えたためです。何もかも新しかったので、居心地は大変良かったです。 
 出前授業の後、ホテルに戻り、一階にある「浜処いっぷく」で食べた「復興三色丼」は、最高においしかったです! やはり、海のものは海の近くで食べるのが一番です。
http://inn-yamada.jp/02_restaurant/index.html

 かなり、脱線したので、2日目(8月12日)の出前授業に話をすすめます。
 2日目は、ソーマキューブという、立体パズル作りをしました。 (午前 こども 6名、 午後 こども 3名) 午前中に参加した5年生の男の子2人は、黙々と作業に取り組んでいましたが、上級生だけあって、のみこみもよく、ていねいに色を塗って仕上げていました。(ちょっと慎重すぎるくらい。男の子の方が慎重?) 午後の3人は、前日も参加した女の子たちだったので、かなり打ち解けて、やや騒がしいほどになりました。あまり声が大きくなりすぎると、「ここは仮設だよ!」とこどもたち同士で注意しあっていたことが、心に残っています。説明が遅れましたが、この出前授業(サマーチャレンジ)の会場は、すべて仮設住宅の集会所をお借りして実施しました。

 ご担当、ご案内くださった社協の職員の方(ご自身も津波で住居を失い、仮設でお暮らしだそうです)のお話では、山田町だけで、45箇所の仮設住宅があるそうです。高台移転という合意はようやくできたものの、具体的な住宅建設予定地などは、まだほとんど白紙の状態、とのお話でした。真の復興への道のりは、まだまだ険しい、と感じました。
 岩手や宮城に、いつまた行けるかわかりませんが、何とか機会を作って、被災地の実情を見聞し、伝えていきたい、と思っています。山田町でお世話になったみなさん、有難うございました。 (滝澤)

 帰途につく折、バス停で撮った写真。津波で流された建物の基礎が、いたるところに残されています。震災から1年半経っても、こうした状況に置かれている被災地のことを、私たちは忘れるわけにはいきません。


2012年9月7日金曜日

9月9日(日) ドイツの経験を聞く~
アンゲリカ・クラウセンさんを迎えて
脱原発と再生可能エネルギーの推進を考える

 みなさま、直近のお知らせで恐縮ですが、以下の講演につき、振津さんから、ご案内をいただきましたので、内容を転載いたします。お近くの方はぜひ、お出かけ下さい。

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アンゲリカ・クラウセン(I P P N Wドイツ支部議長)を迎えて~
脱原発と再生可能エネルギーの推進に向けてドイツの経験を聞く


日時:9月9日(日)午後2時~4時半
会場:西宮市大学交流センター
阪急西宮北口駅北東
ACTA西宮東館6階
http://www.actafan.com/map.html
 フクシマ原発事故により大量の放射能が放出され、広大な放射能汚染地では何百万人もの人々が放射能と闘いながら日々暮らすことを余儀なくされています。東京電力福島第一原発では高汚染の中で被ばくしながら多くの労働者が事故処理作業にあたっています。事故発生から1年半経っても事故は収束していません。国と電力会社は、原発推進の結果起こしたフクシマ事故とその被害について、真摯に反省することもなく、大飯原発の再稼働を強行しました。「フクシマを繰り返させない」ためにも、大飯原発を停止させ、各地の原発再稼働を許さず、脱原発と再生可能エネルギーへのすみやかな転換を実現させなければなりません。
 8月末に広島で開催された「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)世界大会に参加するため、IPPNWドイツ支部議長のアンゲリカ・クラウセンさんが来日されています。26年前のチェルノブイリ事故による放射能は、原発周辺の国々だけでなく欧州全域、さらには北半球全体に広がりました。ドイツを含む欧州各国にも放射能の“ホットスポット”ができ、食品汚染や健康影響が問題となりました。チェルノブイリ事故を契機にドイツでは反原発運動が盛り上がり、脱原発と再生可能エネルギー推進へと大きく政策転換がなされました。IPPNWドイツ支部は、チェルノブイリ事故後ずっと、そして昨年フクシマ事故後に脱原発を決定的にしたドイツでの脱原発運動も積極的に担ってきたグループのひとつです。脱原発と再生可能エネルギーへの転換を運動の力で実現したドイツの経験を、アンゲリカさん来日の機会に、ぜひお聞きしたいと、急遽、講演・交流集会を持つことになりました。
ぜひご参加下さい!

●アンゲリカ・クラウセンさんのプロフィール
1970年代、学生時代から、反戦・核兵器反対・反原発原運動に参加。チェルノブイリ事故後は、幼かった二人の子どもとともに反原発デモに参加。1987年にIPPNWドイツ支部のメンバーになり、1998年から議長。ウクライナなどチェルノブイリ被災国を数回訪問し、現地の医師らと協力してIAEAなどによる被害の過小評価批判にも取組む。2003年、イラク戦争直後のイラクを訪問。IPPNWドイツ支部は、「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(ICBUW)の創設団体のひとつでもあり、イラク南部バスラの医師らの疫学調査を支援するなど、ウラン兵器禁止にも積極的に取組んでいる。
本業は精神科医で、Bielefeldで開業。ドイツ在住のトルコ移民や、アフリカや中央アジアの紛争国から拷問などを経験してドイツに亡命・移住してきた人々のカウンセリングなどにも取組んでいる。

共催:チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西
原発の危険性を考える宝塚の会/新エネルギーをすすめる宝塚の会
資料代:700円 問い合わせ:「救援関西」事務局
(090-3941-6612 ふりつ)

2012年9月3日月曜日

8月の活動報告~その1 岩手県山田町を訪ねて(上)

 みなさま、ご無沙汰しております。ご報告が遅れてすみません。先にご案内していたように、8月11,12日の2日間、岩手県山田町社会福祉協議会主催のサマーチャレンジプログラムの一環として、天体観測(金星食とペルセウス座流星群)講座とキューブパズル作りの出前授業に行ってまいりました。

初日の天体観測講座では、天文現象の解説に加えて、星座早見盤の工作も行いました。これは、「星ナビ」(アストロアーツ社の月刊天文雑誌)が10年ほど前に作成した台紙を、フリーでダウンロードできるものを利用しました。小学校低学年の児童も多かったため、上手に工作できるか、少し不安でしたが、切り出しが難しいところは、事前に切れ込みを入れておくなど、周到に準備していた(と自分でいうのもなんですが)ことが奏功し、みな、完成までこぎつけることができました。(参加者 午前 こども5名、午後 こども4名 大人~保護者 2名)

NPO花山星空ネットワークのご厚意で、ソーラープロジェクター(太陽観測装置)も持参していたのですが、あいにく曇り空となってしまい、太陽観測の実演はできませんでした。これはちょっぴり残念でした。

京都から山田町までは、たいへんな距離なので、前日の10日に前泊しました。10日の朝9時すぎに京都を立ち、キューブパズルの材料を受け取るため東京で途中下車、思いのほか時間を食い、盛岡発の山田町直通バスに乗り遅れるなどの若干のトラブルがあり、宮古からタクシーで山田町に着いたのは、晩の11時頃でした。遠距離をタクシーで移動したため、懐は大いに痛みましたが、運転手さんといろいろお話をすることができました。宮古は震災後、ボランティアの拠点となったらしく、たいへんなボランティアの人出に驚いたとのこと。旅館や飲食店はずいぶん売上があがったようだ、とおっしゃっていました。復興景気というものは、たしかにあるのでしょうが、やはり、一部の業種にかたよっているのかな、と思いました。

出前授業初日に出会ったこどもたちは、みな明るく元気で、こちらが元気をもらいました。午後にお父さん、お母さんといっしょに参加してくれた5年生の女の子は、国立天文台のペルセウス座流星群観測キャンペーンにも強い関心を示してくれ、観測レポートを「ぜひ、やりたい!」と言ってくれました。果たして、お天気の方はどうだったのでしょうか。       (滝澤)



やや不鮮明ですが、再開されたカキやホタテの養殖場が海上にみえます。(移動中のバスより撮影)