2022年4月1日金曜日

チェルノブイリからのロシア軍撤退の意味

 4月1日、ロシア軍のチェルノブイリからの撤退が報じられています。(毎日がエイプリルフールであるかのような、荒唐無稽で支離滅裂なロシア側からの報道に日々付き合わされているので、未だ、真偽は不詳ですが…)さらに、IAEA(国際原子力機関)によるウクライナ原発の安全確認がロシアの協力のもとで来週から行われる見通しとも報じられています。自ら原発の危機を招きながら、IAEAに”協力”する、などというロシアの言い分にはあきれるばかりです。

  まず、チェルノブイリですが、事故処理は100年かかると見積もられており、その総費用は明らかにされていません。通常のコスト見積もりとタイムスケールがあまりにもかけはなれていることや、廃炉にいたる全体像が未だに見通せていないためでしょう。事故後30年間で廃炉にかかった費用だけでも、8000億ドル(約100兆円)とされています。 ちなみに、福島原発の廃炉費用は、2013年当時では11兆円と試算されていたものが、2016年には21.5兆円とされ(いずれも政府見積もり)、民間の公益社団法人日本経済研究センターの2019年の見積もりによれば、廃炉実施・海洋放出なしの場合、81兆円、廃炉せず・海洋放出の場合は、35兆円となっています。(出典:京都大学経済学研究科再生可能エネルギー経済学講座コラムNo.121) 

  事故を起こした原発は、誰にとっても重荷以外のなにものでもありません。チェルノブイリの制圧は、軍事的優勢を一時的に誇示するためのものであり、やはり深謀遠慮に基づくものではなかった、ということでしょう。ロシア軍の原発関連施設制圧に関連して、ロシア側から名前の挙がった放射能兵器(いわゆる”汚い爆弾”)なるものは、その実効性が大いに疑問視されており(健康不安を増大させるが、軍事的効果が出るのには通常の兵器よりも時間がかかる)、最近取り沙汰される“偽旗作戦”に用いるのにも不向きなものなのでしょう。(兵器の実効性について論ずるのも、いまわしいことですが…) 

  ともあれ、ウクライナ入りするIAEA関係者が何を語るか、注視したいと思います。

チェルノブイリの新しい閉じ込め構造物(2016年)出典Wikipedia

0 件のコメント:

コメントを投稿