ウクライナ科学アカデミー放射能科学センター所長のV.シェストパーロフ(V. Shestpalov)さんは、チェルノブイリ事故25周年に開催されたキエフ国際科学会議2011(4月20~22日)で、「チェルノブイリと新しい知見」と題する報告を行いました。
その結論のなかでは、次のように述べられています。
「低線量放射線は、確かにヒトと生物相への影響を与えている。低線量のある線量域では、とくに持続的被ばくの場合、急性的な被ばくよりも危険性が高い。持続的被ばくは長期的な遺伝的不安定性を導き、多様性や突然変異の出現を招き、その一部はヒトを含む生物相に有害な影響を与える。子どもの消化器官系疾患発病率は地域の生態系汚染状況と相関しており、“土壌-植物-食品”という食物連鎖と関係している。ヒトの身体に現れている異常と類似の変化が被ばくしている動物にも現れており、このことはストレスや放射能恐怖症のためではなく、放射線が決定的な役割を果たしていることを示している。
地域および世界的な規模で放射線のバックグラウンド線量が徐々に増えていくということは、エコロジカルな危険性を隠ぺいするものであり、それを食い止めるべきである」
別の、ロシア科学アカデミー放射線生物学評議会による報告では、低線量で現れているリスクを考慮に入れない、病気が放射線の影響であるかどうかを検討しない、注意を払わない、という過ちを指摘し、「チェルノブイリ原発事故の影響評価における、容認しがたい楽観主義を拒否することが必要」だとしています。
日本の多くの「専門家」にまかり通る、「容認しがたい楽観主義」も厳しく告発されなければなりません。
(出典:東京化学同人発行 「現代化学 2011年7月号」)
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