かつての国鉄では、労災事故防止を目的に330運動(1+29+300)として取り組まれていました。ある程度の年配の方ならば、国鉄の駅やヤードなどに、この330をかたどった四角錐が立っていたのをご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このハインリッヒの法則は、もちろん労働災害にとどまらず、人為的なミスによる災害防止を考える上でたいへん重要な法則です。今回のフランスの核施設爆発事故も、このハインリッヒの法則に照らして、検証することが大切です。つまり、こうした核物質を扱うような場所でも、常に人為的ミスが不可避的につきまとうことを私たちは忘れてはならない、ということです。今回のような重大事故の背後には、その30倍ほどの軽微な事故が隠れていたはずで、その300倍ほどのヒヤリとするような事故があったはずです。東京電力に代表されるような秘密主義、隠ぺい体質の核関連企業においては、大事故に至る前の軽微な事故が表に出てくることがまれなため、外部からの批判が少なく、検証が進まないという特徴があります。そのため内部での反省も生まれず、このような重大事故を招きやすい傾向があるといえるでしょう。
地震や津波、台風といった天災が“ひきがね”になって原発事故が起こる可能性もさることながら、天災とは関係なく、人為的ミスだけでも原発事故は起こりうる、ということも、私たちは忘れてはなりません。 (滝澤)
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仏核施設爆発:職員の遺体、放射性物質は検出されず
(毎日 2011年9月12日)
【パリ福原直樹】フランス南部ガール県マルクールにある低レベル核廃棄物処理施設「セントラコ」の溶融炉で12日午後0時半(日本時間同午後7時半)ごろ、大きな爆発が発生。炉の近くで作業をしていた施設職員1人が大やけどで死亡、4人が重軽傷を負った。遺体は完全に炭化したが、放射性物質は検出されていないという。
原発などを監督する仏原子力安全当局は過去数回にわたり、セントラコの運営会社に対して「(管理面などに)厳格さが足りない」との注意を与えていたといい、今回も人為ミスの可能性が取りざたされている。
原子力安全当局は「極めて低レベルの放射性物質が出た恐れがある」としながらも、爆発から約3時間半後には「事故は収束した」との見解を示した。仏原子力庁は、施設外への放射性物質の漏えいはないとしている。
現場は日本人観光客も多い観光地アビニョンから北約20キロ。
現地からの情報によると、爆発は低レベルの金属製核廃棄物約4トン(約6万3000ベクレルに相当)を溶融炉で溶かす過程で発生。溶融炉は建屋内にある遮蔽(しゃへい)された空間に設置されており、爆発で遮蔽壁が吹き飛んだものの、建屋自体に大きな損傷はなかったという。爆発で起きた火災は、発生から約30分後に鎮圧された。
セントラコは1999年に設立され、仏電力公社と仏原子力大手アレバ社が共同出資したソコデイ社が運営。ローヌ川沿いの広大な敷地に、核廃棄物の焼却処理施設と溶融処理施設などがあり、仏国内の原発から発生する低レベル廃棄物の35%を受け入れている。
◇セントラコ
フランス唯一の低レベル放射性廃棄物処理施設。高度情報科学技術研究機構の原子力百科事典「アトミカ」(06年版)などによると、溶融後の金属は遠心鋳造により遮蔽(しゃへい)金属ドラム缶やコンクリート容器の内張り材として利用され、高レベル放射性廃棄物遮蔽容器として仏国内の原子力施設に出荷されている。
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