2011年8月14日日曜日

原発事故による生態系のリスク評価
~野生生物の繁殖の成功率に影響~

   みたび、「現代化学」からの記事紹介です。雑誌「現代化学」が、今回の原発事故に対して高い関心と憂慮の念を示しているのは、おそらく水俣病をはじめとする、日本の公害事件に対する化学者の反省が、背景にあるのだと思います。それに引き比べて、日本物理学会をはじめとする、物理学の分野からの、この震災に対する声明なり、見解の表明が乏しいのは、一体どうしたことでしょうか。
   以下、現代化学8月号「原発事故による生態系のリスクを評価」という記事から、一部を抜粋して、ご紹介します。
  記事は、フランスの放射線防護・核安全研究所のJ・ガルニエ‐ラプラス(J.Garnier-Laplace)らによって、5月23日に報告された福島周辺の陸地と海水中の動植物への影響に関するレポート紹介です。このレポートの情報入手先は、東京電力やIAEA、文科省、京大原子炉実験所(いわゆる今中レポート)等、すべて公開情報です。注目核種は、セシウム134、セシウム137、ヨウ素131の三つです。
このようなレポートが日本からではなく、外国から先に上がってきたことを、この記事の筆者は嘆いています。
原出典:Fukushima Wildlife Dose Reconstruction Signals Ecological Consequences Jacqueline Garnier-Laplace, Karine Beaugelin-Seiller, and Thomas G. Hinton (Environmental Science & Technology)
原論文(英文)ご希望の方は、メールでご連絡ください。
支援する会のメールアドレス:kyoto.sien@gmail.com
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「放射線による外部被ばくと、植物が根から取り込んだり動物が食物摂取や吸入で取り込んだりした放射性物質による内部被ばくを足し合わせ、1日当たりの放射線の量、つまり線量率(単位はグレイ/日)を土壌中の濃度(単位はベクレル/ kg)から計算した。樹木、草、鳥、地中の無脊椎動物、げっ歯類での線量率を求めると、陸地や海水中の生態系が耐えうる線量率(0.24ミリグレイ/ 日)をいずれもが超えていた。(表参照・原文には図あり)
   特に、樹木、鳥、げっ歯類では、繁殖の成功率に影響を及ぼすであろう大きな値であった。三つ以外の核種も考慮に入れて計算すると、線量率は2~6ミリグレイ/ 日に達し、さらに深刻な事態になるとされた。
   海水中については、原発近くで採取された海水が測定資料であり、放射線で汚染された堆積物による外部被ばくも考慮して計算した。植物ではコンブやワカメのような褐藻類、魚類、軟体動物では、死や短命化、鳥では繁殖の成功率の低下を招きそうな値であった。またほかの核種を含めると、線量率は上がった。」(太字強調引用者)


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