2012年7月11日水曜日

新藤兼人「原爆の子」「第五福竜丸」を観よう/京都文化博物館

 実は、私は映画ファンでして、お金もないくせに、映画館で映画を観ることが、数少ない楽しみのひとつです。(歳をくってるのに、学割で映画が観られるというのも、学生の有難さです。まあ、いつまで、学生をやっているのだ、という話でもありますが2年延長などと書かれた不名誉な学生証を窓口で差し出すのも、さすがに気は引けますが、ディスカウントの魅力には勝てません) 日本映画では、私は黒澤明よりもむしろ、木下恵介や成瀬巳喜男といった、ウェットなタイプの映画が好みです。

 よるとさわると涙を流し、涙を流すことを、善人のシンボルにしている、といった木下作品に対する批判があることも承知していますが、涙も流せなくなっては、人間としては終わりではないか、とも思っています(子どもの頃は泣き虫で、感受性が強い子どもでしたが、仕事や私生活がうまくいかなかった30代の頃は、まったく泣けなくなりました。ところが、最近は映画を見たり、新聞記事を読んだりするだけでも、よく泣いています。歳をとって涙腺がゆるくなった、ってことですかね。別に善人になったわけではありません。実体は不機嫌で意地悪な中年男です)

 さて、標題の件ですが、新藤兼人、映画監督としての仕事、という特集上映会が、京都市にある京都文化博物館で73日~22日の期間、開かれています。

 やはり、このなかで注目の作品は、「原爆の子」と「第五福竜丸」でしょう。冒頭に映画ファンだなどと名乗りながら、私はどちらも未見です。日本が世界で初めて核攻撃を受け、さらにまた水爆実験の被害も受けた歴史を、未曾有の原発災害を受けた今、あらためて振り返ることは、いろいろな意味で有益なことだと思います。

 まあ、あまり肩肘を張らずに、若々しい乙羽信子、宇野重吉の姿や、戦火を潜り抜けながらも、山紫水明、白砂青松に恵まれたかつての日本の風景(高度成長期に損なわれ、失われてしまった風景)を楽しむのも、古きよき日本映画の一つの楽しみ方でしょう。  (滝澤)

●京都文化博物館フィルムシアター

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html#film_1207

●「原爆の子」 713日(金)13:30~・18:30

1952年近代映画協会・劇団民芸作品(モノクロ・96分)
監督:新藤兼人
出演:乙羽信子、滝沢修、北林谷栄

●「第五福竜丸」 719日(木)13:30~・18:30
21
日(土)13:30~・17:00

1959年近代映画協会・新世紀映画作品
(モノクロ・107分)
監督:新藤兼人
出演:宇野重吉、乙羽信子、稲葉義男

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